血圧が高いとなぜいけないの?

血圧が高いということは、血管に当たる血流の力が強い。すなわちそれだけ微細な傷が血管につきやすいことを意味しています。平均的に人間は1日大体10万回脈を打っていますので、一回の血圧が20違うとしたら、1回ではそれほどの違いはないですが、1日10万回、1年では…と、血管のダメージが大きく進んでしまうのです。
このように、高血圧の放置は動脈硬化を進行させ心筋梗塞・脳出血・大動脈解離・腎不全などの重大疾患を招き老化を促進させます。高血圧は特に症状がないことより『沈黙の殺人者(Silent Killer)』と呼ばれています。

長年にわたる健康調査などによって、血圧が高い人ほど心臓血管系の病気になりやすく、死亡率が高いこと、とくに収縮期血圧が140以上、拡張期血圧が90以上になると急に高まることがはっきりしています。
健診や病院などでは、普段と違う状況なので、血圧が高くなったり、時間によっては低くなったりする場合もあります。よって、家庭血圧の測定が推奨されており、家庭血圧の場合は135/85が高血圧の基準となっています。自宅や職場で血圧チェックをしてみましょう。

高血圧の治療について「一度降圧剤を飲み始めると、やめられないのですか?」とよくご質問を受けますが、そうとは限りません。降圧剤は高血圧の原因を改善するわけではありませんので、やめてしまうと元に戻ってしまうといえますが、降圧剤を内服しながら、生活習慣の改善などによって、血圧が低下していく傾向があれば、降圧剤を次第に減量し、降圧剤をやめられる方も少なくはありません。ただし、降圧剤は飲んだり飲まなかったりしてしまうと、逆に血圧の変動を大きくしてしまい、血管ダメージが増加してしまうことがありますので、自己判断で中止はせず、主治医とよく相談して減量することが大切です。

具体的な生活習慣の修正ですが以下が代表的なものです。

(1)肥満の改善・予防 

体格指数(BMI)25㎏/m²以上の方はとくに、2~3㎏の減量でも血圧は低下傾向となることが多いです。
*体格指数 体重(㎏)÷{身長(m)}²

(2)減塩 

日本人は塩分感受性が高い方が、50%近くといわれています。塩分過多の方は減塩で降圧効果があらわれます。

(3)禁煙

喫煙直後は収縮期血圧が平均20上昇するといわれており、また喫煙習慣がある場合は一日の血圧も全体的に上昇してしまいます。

(4)節酒

アルコールを飲んだすぐあとは血圧が下がりますが、継続して一定量以上を飲むと高血圧の原因になります。また、睡眠時にお酒が残っていると、眠りの質が低下し、睡眠不足に陥りさらに血圧上昇の原因となります。寝る前の飲酒は睡眠時無呼吸症候群の悪化も来しますので、寝酒はとてもよくありません。

(5)寝不足の改善、寒さやストレスの軽減

寝不足、寒さやストレスなど交感神経への刺激があると、血圧は上昇します。しっかりと睡眠をとり、ストレスをなるべくためこまない生活を心掛けましょう。

シンシア医師

秋葉原内科シンシアクリニック
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町 1-6-5 アキバ・トリム B1F
内科・循環器内科・糖尿病内科・呼吸器内科