ω3系不飽和脂肪酸製剤による心血管予防
動脈硬化性疾患の主な原因である悪玉コレステロールに対し、スタチン系と呼ばれる優れたクスリを使用することで、心筋梗塞の発症リスクを約3割も減らすことが出来ます。
しかし、悪玉コレステロールを管理しても心筋梗塞のリスクはゼロになることはありません。残ってしまうリスクの原因のひとつとして有力なのが「ω3系不飽和脂肪酸の不足」なのです。
心血管疾患の有病率が極めて低いイヌイット族
ω3不飽和脂肪酸の心血管予防効果は、イヌイット族を対象にした調査から広く世に知られる事になります。イヌイット族はカナダ北部の氷雪地帯に居住する先住民族で、心血管疾患の有病率が極めて低いことが知られていました。1970年代の調査の結果、彼らの主食である魚の油がヒントとなり、EPAおよびDHAのようなω3系不飽和脂肪酸製剤の創薬につながりました。
冠動脈疾患を有する方を対象にした調査では、EPA/AAと呼ばれるEPAの血中濃度指標が高い方は、そうでない方に比べ心血管疾患の発症リスクが約2倍であると報告されています(Domei T, et al. Circ J 2012;76:423-9) 。
当院では、糖尿病や脂質異常症、喫煙歴などがないにも関わらず心筋梗塞を発症されてしまった若年の患者様には、血液検査でEPA/AAの測定をご提案しています。
EPAが不足している方には、食事内容の見直しの他、EPA製剤によるEPA/AAの是正を行うこともあります。
いつでもお気軽にご相談ください。
シンシア 医師
秋葉原内科シンシアクリニック
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内科・循環器内科・糖尿病内科・呼吸器内科