ダニによるアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法

前回のコラムでご紹介したスギ花粉舌下免疫療法につづき、今回は通年性アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法についてご紹介したいと思います。

通年性アレルギー性鼻炎は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった花粉症と同様の症状が、季節に関係なく一年中続いてしまいます。

「もしかしたら当てはまるかも」と思われる方は少なくないかもしれません。というのも、日本全国で4人に1人の方が通年性アレルギーを発症していることが疫学調査で明らかになっています。

通年性アレルギー性鼻炎はハウスダストが原因となりますが、ハウスダストとは家のなかのダニの死骸やフン、カビ、ペットの毛、繊維のクズ、フケなど1mm以下の目に見えにくいものを指し、ハウスダストの約9割以上がダニにあたります。

つまり、通年性アレルギーはダニが原因で発症します。

また、ハウスダスト(≒ダニ)はどの家にも存在するため、季節を問わずにアレルギーを引き起こし、さまざまな疾患の原因となります。

  • アレルギー性鼻炎
  • アレルギー性結膜炎
  • アトピー性皮膚炎
  • 気管支喘息

現在これらの疾患のなかでアレルギー性鼻炎に対して舌下免疫療法を行うことができます。

この治療では、ダニエキスを含むお薬を少量ずつお体のなかに取り込むことで、アレルギーの反応を弱めていき、最終的に根治もしくは症状を軽くできる可能性があります。

以下の項目に該当される方が治療の対象になります。

  • ダニアレルギーと診断されている方
  • くしゃみ、鼻水、鼻づまりに一年中悩まされている方
  • アレルギー薬を減らしたい方 または、眠気の副作用で薬が使用しづらい方
  • 毎日の服薬と、定期的な通院が可能な方

※少なくとも3~5年間にわたり毎日継続して服用する必要があります

一方で、以下のような方々は治療の対象にはなりません。

  • 重度の気管支喘息を合併している方
  • 悪性腫瘍、自己免疫性疾患、免疫不全症を合併している方
  • 全身性ステロイド薬投与中の方、免疫抑制剤を使用中の方
  • 重症の心疾患、肺疾患の方
  • 妊婦、授乳婦

治療の流れについてはスギ舌下免疫療法の場合と同様になり、当院では3つのステップで診療を行います。

ステップ1:診察・検査

まずは服用開始前にダニアレルギーの診断が必要となります。

当院では血液検査でダニに対する抗体が検出されるかどうかをチェックし、抗体が陽性の場合に治療の対象となります。

検査費用は3割負担で約6,000円になり、検査結果が出るまでに約1週間かかります。すでに別の医療機関での血液検査でダニアレルギーと診断されている場合は、当院での検査は不要となりますので検査結果をご持参下さい。

ステップ2:初回治療

初回の服用は診察室で行います。服用後にアレルギー反応などの副作用が出ないかを確認するために、院内に30分間待機していただきます。異常がない場合、翌日からはご自宅で1日1回1錠の服用を1週間毎日継続していただきます。

ステップ3:継続治療

初回服用から1週間後に受診していただき、ご自宅で問題なく服用出来たかを確認します。
その後も1日1回1錠の服用を継続していただき、1ヵ月毎に受診していただきます。

服用する上での注意点は、服用後2時間は激しい運動・アルコール摂取・入浴などは避けていただくこと、アナフィラキシーなどの重篤な副作用が出現する可能性があること、治療を中止する場合は自己判断で中止しないことなど、スギ舌下免疫療法と同様の内容になります。

副作用としては、口の中の腫れやかゆみ、違和感、唇の腫れ、のどの違和感などは高頻度で出現しますが、時間とともに段々と落ち着いていきます。また、頻度はとても少ないですが、アナフィラキシーやショックといった重大な副作用がみられる可能性もあるため、治療導入前にこれら副作用や対応方法についてしっかりと説明させていただきます。

費用面に関しては、病院での診療代とお薬代を合わせて、1ヵ月あたり約2,500円になります(3割負担の場合)。

舌下免疫療法を継続的に行うことで、一年中悩まされているダニによるアレルギー症状を改善させることが期待できます。

症状にお困りの方や治療について気になる方は是非ご相談ください。

院長 角田昇隆

秋葉原内科シンシアクリニック
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町 1-6-5 アキバ・トリム B1F
内科・循環器内科・糖尿病内科・呼吸器内科