新型コロナ後遺症について

新型コロナ感染者は増加

先月以降、発熱や咽頭痛、咳などの症状で受診される患者さんが以前よりも更に増え、多くの方がPCR検査で陽性となっています。
そのほか、コロナの療養期間が終了した後も症状が慢性化したり、別の症状に悩まされる、いわゆる「コロナ後遺症」で受診される患者さんも多いです。

新型コロナ感染後も続く症状とは?

世界保健機構(WHO)の定義によると、新型コロナ後遺症(Long COVID)とは、新型コロナに感染してから少なくとも2ヵ月以上続く、さまざまな症状を指します1)
急性期から症状が持続する場合や、経過の途中から新たに、または再び生じて持続する場合もあり、病態については未だ不明な点が多いです。

代表的な症状は?

海外からの大規模調査研究結果や、厚生労働科学特別研究での調査報告などより、以下のさまざまな症状が報告されています。

  • 全身にまつわる症状:疲れ、倦怠感 
  • 呼吸器症状:咳、喀痰、息切れ
  • 循環器症状:胸痛、動悸
  • 精神面に関連した症状:抑うつ、睡眠障害、集中力低下
  • その他:味覚・嗅覚障害、脱毛

後遺症の頻度は?症状はどれくらい続く?

日本の報告(新型コロナ感染症で入院歴がある患者1066例の追跡調査)では2)、診断後の3ヵ月・6ヵ月・12ヵ月後における後遺症の頻度について検討されています。その結果、診断12ヵ月後でも罹患者全体の約3割の患者さんで1つ以上の後遺症がみられ、なかでも倦怠感や呼吸器症状の割合が多かったことが報告されています。なお、いずれの症状においても有症状者の割合は経時的に減少することが確認されています。

図:コロナ後遺症の頻度と経時的変化について

引用:新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第2版より 

後遺症に対する診断・治療について

①呼吸器症状:咳、息切れ

現時点で、コロナ後遺症による呼吸器症状に対する特異的な治療法はありません。よって、一般診療でよく遭遇する長引く咳や息切れの対応に準じて検査と治療を進めます。
まずは、問診と診察にてコロナ肺炎(の残存)が疑われるかどうかを評価するほか、気管支喘息や心不全などの呼吸器症状をきたす原因の鑑別も行います。
検査については、レントゲン検査や呼吸機能検査で肺や気道の状態を評価することができます。いずれの検査も当日ご案内・結果説明ができますので、肺や気道に大きな異常がみられないか、即座にスクリーニングすることが可能です。
また、初期治療でも症状が続く場合や、呼吸機能だけが問題ではなさそうな場合には血液検査をご案内する場合もあります。
治療については、問診・診察・検査結果を経て、その方々の状態に応じながら投薬内容をご提案します。咳止めのほかに、去痰薬や漢方薬、吸入薬などを処方することが多いです。

②倦怠感

倦怠感や疲れは、コロナ後遺症で最も多い症状の一つとされています。特に生活に支障が出る強い症状としては、わずかな労作で体力的・精神的に消耗されてしまう、「労作後倦怠感(PEM)」や、頭の中に霧がかかったように集中力・記憶力が低下する「ブレインフォグ」が挙げられます。約20%の患者で不安や抑うつ症状がみられたとの報告もあり3)、色々な症状が重なることが多いので、原因検索に難渋することも少なくありません。症状が長期に続く場合は血液検査を行う場合があります。また、コロナ後の倦怠感に対する特異的な治療薬はないため、その方々の状態にあわせた治療をご提案させていただきます。

③循環器症状:動悸、胸痛

コロナ感染症では重症度に関わらず、心臓にもダメージを与える可能性があると言われています。具体的には心筋障害や心膜炎などを生じる場合があり4)、より重症になると心筋炎や心不全に至るケースもあるため、動悸や胸痛、息切れなどの症状が続く場合は早めに受診されることをお勧めします。

まずは心電図やレントゲン検査を行うことで、心膜炎・心筋炎・心不全のスクリーニングを行うことができます。検査で異常がみられた場合、もしくは異常がなくても問診や診察内容で注意すべき徴候がみられた場合は、血液検査や心臓超音波検査などを行います。
循環器症状の頻度は、咳症状や倦怠感と比較すると少ないですが、放置すると重篤な状態に至ってしまう可能性があるため、症状が気になる方はご相談ください。
今後もコロナ感染者数は変動を伴いながらも増加することが予想されます。感染後も長期に続く症状でお困りの際はいつでもご相談くださいね。

参考文献
1. Joan B Soriano, et al. A clinical case definition of post-COVID-19 condition by a Delphi consensus. Lancet Infect Dis. 2022 Apr; 22(4): e102-e107.

2. 厚生労働科学特別研究事業:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究(福永班)
3. Wong AW, et al. Eur Respir J. 2020; 56(5) Epub 2020 Nov 26.
4. Valentia O Puntmann, et al. Long-term cardiac pathology in individuals with mild initial COVID-19 illness. Nat Med. 2022 Oct; 28(10): 2117-2123.

院長 角田昇隆

秋葉原内科シンシアクリニック
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町 1-6-5 アキバ・トリム B1F
内科・循環器内科・糖尿病内科・呼吸器内科