インフルエンザ感染が拡大

先月発熱で受診される患者さんの大多数がコロナに感染された方々でしたが、今月に入ってからはインフルエンザに感染された患者さんが増えています。

最近のニュースでも、インフルエンザ感染拡大に伴う学級閉鎖が度々報道されており、都内の学校では今月10日までの1週間で53校がインフルエンザで臨時休校となりました。

また、都内のインフルエンザ患者の報告数は、今月10日までの1週間で1医療機関あたり5.95人と前週の2.96人から倍増しています。

ここ最近の感染状況に関して、国立感染研究所から随時発表される感染症発生動向調査週報のデータを引用し、8月28日~9月3日の1週間における定点把握疾患毎の報告数を下の図にまとめました。

※定点把握疾患:インフルエンザや感染性胃腸炎など身近な疾患においては、特定の病院や診療所を定め、その医療機関を受診した患者数を基に、流行状況を把握しています。

インフルエンザは前週(8月21日~27日)と比較して倍増しており、都道府県別で見ると、沖縄県では定点当たりの報告数が9.41と注意報レベルである10に近づくなど、全国的に感染が拡大していることが報告されています。(東京都:2.96 神奈川県:2.74 埼玉県:2.83 千葉県:4.2)

※定点当たりの報告数:あらかじめ指定された医療機関(定点医療機関)が、1週間に診断した患者数の合計をその定点医療機関数で割った値

国立感染研究所からのデータ(感染症発生動向調査週報8/28-9/3)を基に筆者作成

新型コロナ感染症との症状の違いについて

検査

よって、これらの症状でご来院される患者さんには、現在の流行状況を踏まえ、インフルエンザ検査と新型コロナPCR検査をお勧めすることが多いです。
いずれも鼻腔の検査で、結果が出るまでの所要時間は、インフルエンザ検査:5分、コロナPCR検査:5~20分と迅速に結果が分かります。
※いずれの検査においても、発症後12時間以内では検査のタイミングが早すぎてウイルス量が十分に増殖していないことで陽性率が下がります(実際に感染していても結果が陰性となってしまいます=偽陰性)。よって、発症から間もない場合は、①検査を翌日にずらす、②翌日再検査する、などご相談させていただく場合があります。

治療

早期の治療としては抗インフルエンザ薬の投与が大切になります。その他、解熱剤などの対症療法薬も使用します。抗インフルエンザ薬については、現在5種類の薬が使用可能であり、罹病期間短縮や合併症防止、入院減少などのエビデンスがあります。
抗インフルエンザ薬はウイルスが増殖するまでの発症48時間以内に使用しなければ、効果が乏しいことが報告されており、症状からインフルエンザが疑われた場合は早期の受診が重要になります。

予防

インフルエンザの発症予防、重症化においてワクチンが重要です。
当院では10月2日からインフルエンザワクチン接種を開始予定であり、次回のコラムでワクチンに関してお伝えさせていただきます。

コロナ感染者が依然として多いことに加えて、例年の同時期と比較してインフルエンザ感染者数が増加しています。急な体調不良の際はいつでもご相談ください。

院長 角田昇隆

秋葉原内科シンシアクリニック
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町 1-6-5 アキバ・トリム B1F
内科・循環器内科・糖尿病内科・呼吸器内科