インフルエンザ感染後に続く発熱と咳には注意

インフルエンザは警報基準値目前に!

全国的にインフルエンザ感染者が増加傾向にあり、当院でもインフルエンザ陽性の方が更に増えています。以前のコラムでも書きましたが、8月下旬におけるインフルエンザ感染者数は例年の同時期に比べて非常に多い状況であったなか、現在は更に増加し、10月第1週時点の定点当たりの報告数は9.99と警報基準値である10を目前に迫る勢いとなっています1)

国立感染研究所からのデータ(感染症発生動向調査週報(10/2-10/8)定点把握疾患の報告数)を基に筆者作成

インフルエンザに感染した場合、発熱や咳、咽頭痛、下痢などの症状で受診されることが多く、これらの症状は数日間で軽快することがほとんどです。しかし、感染初期、もしくは感染からある程度時間が経ったにも関わらず、強い咳症状や呼吸困難症状を伴う場合は、肺炎を合併している可能性があります。

今回はインフルエンザ感染に伴う危険な合併症の一つである、『インフルエンザ肺炎』についてお伝えします。

インフルエンザ肺炎の種類

インフルエンザ感染に伴う肺炎は、①インフルエンザウイルスによるウイルス性肺炎、②二次性の細菌性肺炎の二つに大きく分けられます2)

ウイルス性肺炎は発症後3日以内に急速に進行し、発熱と呼吸困難をきたしますが、季節性インフルエンザ感染では比較的稀とされます。

一方、二次性細菌性肺炎は、インフルエンザ感染が一旦軽快してから数日後に細菌性肺炎を続発するものを指します。高齢者や合併症をもつハイリスクの方の割合が多いですが、若年者でも時折みかけます。「インフルエンザに感染してから時間が経ったのに、微熱や咳が長く続く」、「感染当初より息切れが悪化してきた」などの症状がみられる方は、細菌性肺炎を合併している可能性があり、注意が必要です。

なぜ細菌性肺炎にかかるの?

インフルエンザウイルスが気道の上皮細胞から感染すると、ウイルス由来のタンパク質が炎症反応を活性化したり、免疫応答に障害をきたします3, 4)。その結果、気道の上皮細胞が破壊され、細菌が侵入しやすくなります。また、全身では炎症性物質が増えることで、肺炎が起こりやすくなると言われています。

Viruses. 2022 May 16;14(5):1064.の論文より引用し, 筆者作図

受診のタイミングは?

インフルエンザ感染後から1週間経ったあとも、発熱や咳症状が続く場合は一度受診しましょう。発熱はなく咳が長期間続く場合は、「肺炎」ではなく「咳喘息」を発症しているかもしれません。これらはレントゲン検査や血液検査、場合によっては呼吸機能検査によって診断をつけることが出来ます。

肺炎の場合は抗生物質が必要となるため、咳止めなどの市販薬を漫然と使ったままにすると病状が悪化してしまいます。症状が続く場合はすぐに受診しましょう。

予防は?

日頃の予防法としては、手洗い、うがい、ワクチン接種、禁煙が大切です。また、ワクチンによって、重症化やインフルエンザ関連の入院を抑制するデータが報告されています5, 6)

下の表に当てはまる方々は合併症のハイリスク群であり、特にワクチン接種が推奨されます。

  • 65齢以上の年齢
  • 慢性呼吸器疾患(喘息やCOPD)
  • 心血管疾患
  • 腎・肝・血液疾患、代謝疾患(糖尿病など)
  • 神経筋疾患
  • 免疫抑制状態
  • 妊婦
  • 長期療養施設の入所者
  • 著しい肥満
  • アスピリンの長期投与を受けている者
  • 担癌患者

急な高熱でインフルエンザ感染が疑われる方や、インフルエンザ感染後から長く続く発熱や咳でお困りの方は、いつでもご相談ください。

参考文献:
1.国立感染研究所ホームページより「
感染症発生動向調査週報 2023年第40週
2.厚生労働省 成人の新型インフルエンザ治療ガイドライン第2版より
3.Mark H Almond et al. Influenza-related pneumonia. Clin Med (Lond). 2012 Feb;12(1):67-70.
4.Miriam Mikušová et al. The Contribution of Viral Proteins to the Synergy of Influenza and Bacterial Co-Infection. Viruses. 2022 May 16;14(5):1064.
5.Marc Rondy et al. Effectiveness of influenza vaccines in preventing severe influenza illness among adults: A systematic review and meta-analysis of test-negative design case-control studies. J Infect. 2017 Nov;75(5):381-394.
6.Jill M Ferdinands et al. Does influenza vaccination attenuate the severity of breakthrough infections? A narrative review and recommendations for further research. Vaccine. 2021 Jun 23;39(28):3678-3695.

院長 角田昇隆

秋葉原内科シンシアクリニック
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町 1-6-5 アキバ・トリム B1F
内科・循環器内科・糖尿病内科・呼吸器内科